2019-05-27
映画『若おかみは小学生! 』原作愛にあふれつつもこの監督でなければ伝えられなかったことが山盛りで明らかに神アニメなので全人類は見たほうが良いです。時間を無駄にすることは絶対にありえません、才能過ぎる。私は序盤から泣きまくりティッシュの山を作り上げました。
いや、泣かない人は泣かないと思うんですけど、泣けるから名作というわけでは全くなくて……私はプレゼンテーションが下手なんですがどうにかして見てください。見たほうが良い。見た後に後悔したら私に向かって感想文を送りつけてもいいです。私には自信がある。この映画は百年後も残っている……。
原作を小学生のころ読んでいた世代ですが、正直何でみんなこんなオススメしてるんだろ~と思ってまして。いや原作も好きで5巻くらいまでは読んでいたんですが途中で中学生になってしまったので購買意欲が無くなってしまったんですね。
これはネタバレです。前提として主人公おっこの両親は何の罪もないんですけど交通事故で亡くなっていて、おっこも理不尽に巻き込まれているんです。
別にこの話は犯人に何か誤解があったとか、おっこにも過失があったよねとか温泉旅館にクレーム入れる客をぎゃふんと言わせる……みたいな話ではないんですよ。受け入れる話なんです。舞台である花の湯温泉のお湯は、誰も拒まないことを作中では何回も繰り返し伝えられます。クレーマーも傷心の人間も、両親を亡くした小学生の女の子もです。
だけどおっこが気丈にふるまい母親を亡くした少年を勇気づけるときもそのあとも彼女はずっと両親の幻影を見ているんですよね。彼女は誰かを温泉に受け入れる努力をして、成功させたとしても両親の死を受け入れられないし、ということは両親の死によって来ることになった花の湯温泉を彼女自身が心の底では受け入れられてないんですよね。でもその事実を女将として働く中でだんだんと認めていく。周囲の人間も誰かを許す許さない、ではなくただ受け入れて、困難と立ち向かって、自分の中でどうにかこうにか消化していくんです。
女将という仕事の中で他人の中で自分と向き合う。
わかりきったことですけど、役割は人間の人生の支えになるんです。
速水ヒロが社会の生贄としてアイドルプリズムスタァとして生きていくことはすごく厳しい道で、べるさまも言っている通り孤独で茨の道なんです。だけどそれだけじゃないじゃないですか。才能の義務だから、誰かを笑顔にしたいからだけでも速水ヒロは茨の道を進んでいける人間ですけど(知り合い?)、アイドルという偶像は速水ヒロの勇気になるんです。速水ヒロはアイドルとして立つことでいろんな人間と繋がっていけるんです。「プリズムショー界は不正にまみれて腐りきっている~」みたいなことをスッスッスでカケル君が言ってましたけど速水ヒロなんてその腐敗に正面から向き合ってきたわけです。
肯定しているだけではないけど彼は腐敗も受け入れてますよね、腐敗も明るさもきらめきも全部そのものとして受け入れてる。何でかっていうとアイドルという役割が彼をそういう立ち位置に縛りつけている、と同時にその力を与えてくれているからです。役割は力なんです。だから絶対に速水ヒロのこと可哀想だなんて思いたくないよね。努力でしがみついたその場所はたぶん速水ヒロの勇気の源なんです。勇者の証なんです。ウワッ……かっこいい~~~~。
ミハマコウジ、その音楽という鋼鉄製の縄でハヤミヒロの人生を偶像に縛りつけてくれ。そして自身は自由に羽ばたいていってくれ、その音楽の根底に常に速水ヒロという音色を抱えながら……。楽しすぎてポエムになってしまった。
ま、速水ヒロはキンプラで役割以外から得る力も手に入れてキングの座に着いたんですけど。いや~まいっちゃうな、推しアイドルが好きすぎるしかっこよすぎる。若おかみの話をしていたのに完全に脱線してしまった。速水ヒロに別に興味ない人間でも社会の中で生きているなら問題ない最高の映画ですので皆さん観てください。最近は4章で初見の理解力を越えてしまう展開が申し訳ないのでスッスッスを初心者に勧められていない。でもジョージの歌は見ろ。
速水ヒロの美しさを何からでも読み取ろうとする悪い癖~~~。そうかもね(メガネのつるを噛む)。